守りたいもの/yoshi
 
部屋で

彼女は一日中外を見て過ごす

時々、飛んでいく飛行機や蝶々や鳥に声をかける

「こんにちは」だったり「お久しぶり」だったりするが

明るく、健やかな笑顔を持って声をかける

僕の帰る夕方くらいになると、不意に立ち上がり、手を洗い始める

僕が帰ってきても、「ただいま」と声を張り上げても彼女は振り向きもしない

僕は考える

愛情を持って接すると言う事と、人が死なないために正義感からそれを食い止める

という行動の違いを、もしかしたら彼女は察しているのではないか

彼女がそれを察しているかどうか

僕は彼女を愛しているのか

もはやそれはどう
[次のページ]
戻る   Point(1)