守りたいもの/yoshi
部屋で
彼女は一日中外を見て過ごす
時々、飛んでいく飛行機や蝶々や鳥に声をかける
「こんにちは」だったり「お久しぶり」だったりするが
明るく、健やかな笑顔を持って声をかける
僕の帰る夕方くらいになると、不意に立ち上がり、手を洗い始める
僕が帰ってきても、「ただいま」と声を張り上げても彼女は振り向きもしない
僕は考える
愛情を持って接すると言う事と、人が死なないために正義感からそれを食い止める
という行動の違いを、もしかしたら彼女は察しているのではないか
彼女がそれを察しているかどうか
僕は彼女を愛しているのか
もはやそれはどう
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