緋竹の王妃/蒸発王
 
ら吐き出される
吐息が
白く羽衣のような帯を作りだす
自分の姿を
真っ赤な真っ赤な
女の姿を


叔父に見せつけたのです


そして叔父は
そんな燃えゆく妻の姿を見るにつけ
脳髄が焦げるような悲しみと
網膜が溶けるような欲情との挟間に
やっと
立ち尽くすのみでございました


やがて
燃え跡から歩き出した叔父は
ぶつぶつと呟きながら
北東の竹林に向いました

緋色の竹
    緋色の竹



すでにもう

戻れない所まで狂うていたのでしょうね


鬼門の方向にある竹林には
緋色の涙を流す王妃が棲んでいる

子を亡くし
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