緋竹の王妃/蒸発王
ら吐き出される
吐息が
白く羽衣のような帯を作りだす
自分の姿を
真っ赤な真っ赤な
女の姿を
叔父に見せつけたのです
そして叔父は
そんな燃えゆく妻の姿を見るにつけ
脳髄が焦げるような悲しみと
網膜が溶けるような欲情との挟間に
やっと
立ち尽くすのみでございました
やがて
燃え跡から歩き出した叔父は
ぶつぶつと呟きながら
北東の竹林に向いました
緋色の竹
緋色の竹
すでにもう
戻れない所まで狂うていたのでしょうね
鬼門の方向にある竹林には
緋色の涙を流す王妃が棲んでいる
昔
子を亡くし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)