火をつくる丘。/鯨 勇魚
 
狐の花火。は、
昨晩の街明かりと較べるならね、
色もずっと濃くあって、
ほとんど紅に近くあって、
形といえば思い出にしたくない。
のそのままで、
近くには絹のような柔毛(にこげ)の生えたセイタカアワダチソウも強くて立派にありました。
私はそれを蒼いろした厚い切子の一輪挿しへ活けたなら。月夜とか。

あたしの精神は、残念ながら黒と白との過去、であり。
市松模様なの。

テーブル掛けの上では、紅や蒼が鮮かなパステルの効果を見せているのですが。

あの曼珠沙華を眺めていると、
丘への坂道を登りきるまでの距離があり。
そしてあたしは、遠くの蒼い海を思い、
しかしながら、
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