火をつくる丘。/鯨 勇魚
 
の部分を鮮かに現しました。泳いでいるのでしょ。

そのうちに、
明るい桔梗いろの空がひろがって。
蜂蜜のような日光が射して。
風薫るのは、狐と彼岸のまだ湿る精神の融解でした。
あたしの住んでいるこの街の家のまわりでは、
いろいろな景色。が、つぎつぎと歌い出します。
そよ吹く西風。に、
木々の雫。が、季節なの。
一斉にきらめいたりしたんだよ。
その雨後の庭先。の、先。
火をつくる丘で二、三本の曼珠沙華を摘んでは、あたしも末日なの。

優しく美しいね。これ、狐の花火ね。
樹下。の、まばらに、
でもあたしの眼にはぎっしりと。
小さな群になって咲いている。

その狐の
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