降り来る言葉 XXXIII/木立 悟
雨は去り
野は息を継ぎ
有限を照らす
まぶしさをやめず
かけらは香る
満ちた川を
鳥は離れる
雨を追い抜く雨のほうまで
文字は幾つかつづいてゆく
声や羽が
曇に沈む
音のかたわらに落ちる音
人ではない
鳥ではない
たどりつけない遠くがあり
それすら越える指がある
鬼を抱く手と
うしろすがた
目の内そとに揺れる糸があり
口に入るたび消える糸がある
まぶたからはじまるかたちの重なり
聞こえないふりをする気だ
ひとりしかいないのに
あなただけに降りそそぐのに
思いどおりに描けた絵を燃し
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