ワレラノナノリノモトニ/七尾きよし
心臓の鼓動を感じたとき、あっ!わたしは生きているんだ。こんなに確かなリズムを刻みながら、今生きているんだ。と驚いたことがある。
私の生命を刻む心臓を「わたしの心臓なんだ」として見つけることで喜ぶことは、それだけわたしが生命としての身の事実から遠のいて生きていることを表しているように思う。自分自身の生命を対象として観察し、当たり前にしていたことを再発見することで感動する。感動するし、自覚を促される出来事なのだが、身の事実と私との距離感を感じさせる出来事でもある。
私の心が苦しい時、私は苦しみを消そうとする。苦しみの原因となっているものを見つけ出して消しさらなければならない、もしくは、
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