深まる森/狩心
 
雨の絶えない戦場だった
沼に入れば、蛭が喜んで血を吸う
足は腐り、ブーツも履けなくなる
ゆっくりと眠る事はできず
片手に銃を抱き抱えたまま
落ちてくる雫に、耳を澄ましていた

近くで地雷の音がして
仲間が一人、二人と消えていく
誰も助けられないまま
一人蹲って、震えていた

敵が攻めてくる前は
この森もやけに静かだ
静寂の中に身を潜め
気配を消さなければならない
少しでも物音を立てれば
すぐに敵に見つかって
射殺されるのだ

私は立ち上がる事も忘れていた
するとどうだろう
深い森の中に一人
敵も味方も見出せなくなって
透明な戦士が一人
現れたではな
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