森のひかり デッサン/前田ふむふむ
な意識を支える足が、壊れることもなかった。
音もなく過ぎる秒針の日々に、
薄い胸のなかを、水槽のような森が、積み上げられる。
あなたが置いたコップ一杯のみずが、またひとつ増えて、
せまい部屋のなかは、
光沢にゆれるコップの群で溢れている。
硬く弓をはった、あなたのからだが、
大理石のような冷たい色を染めている。
あなたの手を握る化石が、砂のように砕けて、
涙が、コップ八分目の水面で、葬送の雨になっていった、
仄かに白い朝になれば、
わたしには、捨てることのできなかった、
このみずを、この胸が、
この喉が、
この瞳が、
叫び狂
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