森のひかり デッサン/前田ふむふむ
わたしは、低い背中を壁にあてて、
痛みをおびる冷たさのなかに、溶けてゆけば、
矢をいぬく視線が、わたしのからだを通り抜けて、
会話の断片が、その後から、針のように刺していった。
翳むように、うな垂れた一輪の水仙が、
夜の浅瀬に咲いていた。
わたしは、門のまえで、立ち止まったまま、
とっくに夜の音色が消えていた、青い空を眺めて、
小さな篭に入っている、野いちごを、またひとつ食べている。
大きな絵画を見ているように、
わたしは、今日も、錆びた門を通ることがなかった。
日常の天秤は、均等を崩すことなく、
わたしの空白には、雨が降ることがなかった。
わたしの頑なな意
[次のページ]
戻る 編 削 Point(23)