流れ/相良ゆう
 
まったり
反対の流れに負けて荷物を落としてしまったりすると
一時的に流れは滞りを見せる


しかし流れは恐ろしいものである
躓いた者はあっという間に流れに飲まれ
恥ずかしがるまもなく再び流れに組み込まれる
彼独りの力では到底及ばぬ巨大な力が
彼を再びその流れへと駆り立てもする
泣き言すら言わせない
与えられるものは無言の圧力ばかり
救いの手は差し伸べられない
流れの恐ろしさである


ひとつだけ流れを受け入れないものがあるとすれば
それは流れに負けない岩であろう
完全に倒れてしまった者は流れを逸らす岩となる
彼が立ち上がるまでは流れのほうが彼を避ける
彼が再
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