流れ/相良ゆう
が再び立ち上がり流れに還るまで
彼は流れを逸らす岩である
だが岩ゆえに
削り取られたり浸蝕されたり
蹴飛ばされたり痛打されたり
そういう危険を背負うことになる
立ち上がろうとしたところを鞄で殴打されたり
拾おうとしたところに膝が入ることなどしばしば
しばしば
それでも流れにも終わりが来る
目的をともにした者達との別れのときが
ひとつの流れを成していたものが
再び離散し 個に戻ってゆく
次の新たな流れの一部になるべく
各個思い思いの配置に付く
目的意識は共有してはいないけれど
目的地は一瞬だけでも共有することができた
心の中では互いに互いを罵り合ったりし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)