書簡/soft_machine
 
来たのかもう分からないからいいんだ
果実熟れるまま日常に忍ばす蔦も絡まっていいんだ
自由はどうしようもなく退屈なもの
何故だろうお前が笑顔だけ残していった
昨日まで知らなかった道をゆく
返すものなど、無くていいんだ

 ・

ひさしぶりのやわらかな風に
かなしみを思い出してみたの
柔らかく陽射しをゆらすレース越しに見れば
あなたの笑顔だけは、今朝もフライパンの中で元気

忘れないと決めていたの
この不思議な鮮やかさの灰いろは
興奮したかと思えばすぐ疲れたりする
ベランダの隅っこでする独り言が好きな
あなたは夜明けにねぐらを探すこうもり

生活の網のすき間に指
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