書簡/soft_machine
そこに蜂とも蝶々とも感じとれない
まるでニンフの笑顔があったから
水がこぼれて唇に
涙がふれるまであげるの
しおざいがするわ
すると一瞬もっと陰って
体育館の表でバレーボールの練習生が
わっと風を受け止めたわ
それから幼い街路樹の前で
佇むルソーの亡霊を見たの
幻は都会にだって すこし探せば
お互いを祝い合って生きていられる
真夏の机の氷のように
みじかい今を生き延びながら
・
老女の乳房がそよ風にのんびり垂れるから
すっかり珍しくなった停電を待ちながら
半分程にすり減った犬歯で描いた
胡瓜を齧ってことばを眉間に埋め
足の裏を這う小蝿をテー
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