骨と首の話 その4(完)/hon
 
何か言った。
 それで、私は顔を上げた。
 実際、それは一瞬のことで、そのときにはもう既に終わっていた。突然、私の両手の中で、彼の首は、石で出来た地蔵の頭部に変化していたのであった。
「あっ」私はびっくりして後ずさりすると、道の真ん中に倒れて尻もちをついた。
 急いで見直してみると、それはもはや一体の完全な地蔵だった。最初から、ずっとそこにあったかのように、何の違和感もなく。
 周囲は静かだった。わずかな日の名残りがあったが、すっかり暗くなっていた。今や、住宅地の一角の風景は、あまりにも日常的で、ありふれたごく当たり前のものだった。そこには、三つの並んだ地蔵。私はキツネかタヌキか、ものの
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