骨と首の話 その4(完)/hon
 
んと転がり落ちることになっては、大変である。だが、どうにも首と地蔵のサイズが合わないし、土台となる断面も安定しないので、上手く首を据えることが出来なかった。こんなところに誰か通りかかったら、きわめてまずいことになりそうだ。何か間違いが発生しているのではないのか、と私は不安になりはじめた。
 そのとき、それは起こった。
 それはひとつの奇跡であった、と……お望みならそう呼んでもかまわないかもしれないが、そんなに派手な言葉が似つかわしいとも思えなかった。光もなく、音もなく、神秘的な紫の煙がもうもうと立ちこめることもなく、天から荘厳な声が降りてくることもなかった。
 まず、彼の口が開き、小声で何か
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