骨と首の話 その4(完)/hon
ですが……」私はとまどい、躊躇した。
「かまわん。そこに私を置いたら、そなたはすぐさま立ち去って良い。だから、さあ、早く置いてくれ」
彼の口調は切迫しており、私は気おされるところがあった。
私は慎重に視線を巡らして、周囲に人がいないのを確認してから、風呂敷をほどき、彼の首を抱え上げた。出発する前に朦朧としていた彼の表情は生気に満ちており、目に活力の光が宿って、その意識ははっきりと覚醒していた。
私は彼を、首の欠けた地蔵の上に据えた。
そうして置いてみたものの、平衡が上手く取れなかった。両手で彼の首を持ちあげ、少しずつずらしながら平衡を確かめていった。手を離したときに、首がごろんと
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