骨と首の話 その4(完)/hon
だった。
特別な建物が付近にあるわけでもなく、何の変哲もない道だったが、彼はここが目的地なのだと言う。言われるままに辺りを見回してみると、向かい側の道の縁に三体の並んだ地蔵が立っていた。
「ここに地蔵が並んで立っています。そのうちの一つには、首が……首が欠けているようですが」
三つの地蔵があって、真ん中の一体の首が欠けていて、なくなった首はどこにも見あたらなかった。見ていて落ち着かない気分にさせられた。それだ、と彼は鋭く叫んだ。
「さあ、そこだ。その首の欠けた地蔵の上。そこに私を置いてくれ」
「ああ、その……そこは外から視線を隠す遮蔽物が何もなく、通りかかる人から丸見えの場所なのです
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)