骨と首の話 その4(完)/hon
容だ、と彼は言った。「そこで生命をなしている要素の構成が、別の新しい構成へと移る。今まで私は死なない身だからこそ死を知らず、死を思わなかった。しかし、その不死性というのも、私の首から下の骨と肉体と共に崩壊してしまったようだ。死は常に私の外側にあったが、今は内側にそれを感じる。ところで、生きている人間は死について良く知っているのかというと、そんなことはない。誰でもそれを体験するのは一回こっきりだからな。人は苦痛を恐れているけれど、だが、それがまた生きるということでもある。だから、人は家をつくり、街をつくる。また、神殿を構築し、文明を生み出し、戦争を遂行した。人間は誰しも不安を持っていて、そいつを取り
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