骨と首の話 その4(完)/hon
てすぐに、私は異変に気づいた。毎朝、目覚めると、即座に一日の最初にやってくる関節の痛みを味わって、暗澹とした気分になるのが私の日課になっていたのだが、その日の朝は、体を起こしても、いっこうに痛みがやってこないのである。
私は出かける支度をはじめていた。痛みは感じなかったが、私は非常に慎重に体を動かした。こういう時、本当に油断は禁物なのである。こんな風に、痛みが和らぐことは、これまでもたびたびあった。そんな時には、ひょっとして治ったのだろうか、と期待を持ったりもする。しかしそれは小康状態というやつで、ホッとして痛みのことを忘れかかったころに、突然痛みはよみがえって襲ってくるのである。そうなのだ、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)