骨と首の話 その4(完)/hon
車の区間も一駅だけだし、日常から遊離した部外者だからこその妙に浮かれた気分に憑かれたということだろうか。
それにしても、生首だった彼は、石の地蔵に変わる寸前に何を言ったのだろう。小声で聞き取れなかった。まあ、もしかしたら、謝礼の言葉かも知れない。「助かった、礼を言う、ありがとう」とか何とか。たぶん、礼を言われる程度のことはしたように思うので、それくらいは期待して良いはずである。だが、聞き取れなかった以上は、どうとも分からないことではあるけれど。
電車はあっというまにN駅に着き、それからは特に語るほどの事柄もなく、私は家へ帰った。
最後にその次の日の話をする。
朝、目を覚ましてす
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