私は鯨の骨になる。/皆川朱鷺
ンクリートに灰となる。
そして響く、静かな疲れた笑い声。
夜の海は黒い。ただ、黒いのだ。
岬へ消える遊歩道の先も、空も、一瞬の炎に映る子供のシルエットも、皆黒いが、私は海の黒が一番生き生きしていると思う。
呼吸するように上下する黒い液体は、日中の緑の不潔さとは別物で、とても美しいのだ。
人が完璧に去った後、突如、海は歌いだした。
私は石の階段に寝そべり、アルコールに脳を浸らせながら、海へと静かに運び出されることを空想する。
潮の満ちるのとともに、私は海へ運ばれる。
この黒い海へ。
そして、沈み、骨となる。
その間に吐息を付く暇のなく、決して速くはなく、棺おけがこぽこぽと海水に溺
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