私は鯨の骨になる。/皆川朱鷺
に溺れていくように、私は物体みたいになって、こぽこぽと海の底の砂に身を横たえるだろう。
やがては幼い頃海岸に打ち上げられているのを見つけた、鯨の骨のように浜に打ち上げられることだろう。
そういう死は、詩的で魅力的に思える。
黒い液体に足をつけつつ、私は石段に身を乗せる。
空を仰いだら、星が点滅していた。
白々とした町の上にかぶさる夜空の黒も、上部は黒々としているのだろうか。
私は急にそれにのぼりたくなった。
しかし、視線を海が捕らえた途端、その気は失せ、私は緩やかに体の力を抜いた。
海は、ただ、黒い液体で、粘っこく、しかし電池の光に、てかてかと存在をこじつけていた。
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