私は鯨の骨になる。/皆川朱鷺
 
いい例だ。
海と芝の間に遊歩道があり、遊歩道と海の間には石の階段が海へと誘うようにして設置されている。
考えてみれば中々優美な設計だ。
遊歩道は右手にずっと伸び、港の形に添って折れ、そのまま岬の先へと伸びる。
歩道の左手にはいつも海と、石の階段があり、右手には小奇麗な芝生がある。
その芝生の上には所々ベンチが置かれている。
芝生には時計台があり、白い白い電光に黒い線で時刻を示す。
子供たちの燃やす夏が、最初は豪快に海を照らし、爆音を鳴らす。
しかしそれは次第に静かに落ち着いて、手の中で転がり、最後は指先で大切に保護されるまでとなって、あっと息を漏らした瞬間、指先から零れ落ち、コンク
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