季節の散歩術/岡部淳太郎
、「散」らした「歩」に意味を付与していくことが出来る。
あなたは歩く。寒さの中で歩いて、その気楽さの中に次の生への希望をこめることが出来る。風雪の中をゆっくりと歩く老婆は、次の季節には跳ね回る幼い子供となる。それは次のあなたの生の姿そのものでもあるのだ。
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以上、四つの季節ごとに記してきた。散歩というものは徹頭徹尾気楽なものであり、気楽でなければならないというのが唯一のルールであるようなものだが、その気楽さも時に挫けてしまいそうになることがある。ここに記したように季節の特性によってそうなってしまうこともあれば、心中に懊悩を抱えている場合などにもそうなる可能性がある。だが、
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