[:Holiday/プテラノドン
 
 
「じかにふれてみればわかる」

 男は女の手を握り
 宮殿内を歩き回った
 久しぶりの休日だった
 彼女は大理石の花瓶の中で
 プリマのように くるくると
 まわってみせた
 もしくは、
 呪術師があやつる
 白銀のスプーンのようだった
 彼女の体からたえず噴出する
 いろとりどりの花びらは
 やがて蝶となり―回廊を飛び回り
 蝶を追いかける二人もまた
 春となった

あらかじめやいずれにせよ、もしかしたら
あわよくばとはいいつつも結局は、なんて―それ自身が
幻想だと証明すると同時に否定した、かつての旅人たち
歴史の一ページに漂う海賊くずれの詩人たちも
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