彼は殺し屋/相良ゆう
た
彼は殺し屋
悪魔の瞳と目が合った
銃口が私を狙っていた
喉を貫通する感触
無様に床に倒れこむ
冷めた汗を掻いていた
彼は殺し屋
教室から出て行く
満足げな顔をして
私は床に跪き
貫かれた喉を思い
同時に正気を失った
彼は殺し屋
悠々と廊下を帰っていく
我が物顔で帰っていく
私はボールペンを握り締め
夢中で彼を追いかけた
視界は白いままだった
彼は殺し屋
私の足音に気づかない
右手に握ったボールペン
後ろから喉もと狙って突き刺した
肉を貫く確かな感触
視界は白いままだった
彼は殺し屋
喉を押さえて蹲る
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