土手のギシギシと格闘する前に/佐々宝砂
ないか(笑)。
詩集を売るという作業は、美談だろうか、醜聞だろうか?
私は、その植物がなんだかわからないと、雑草を刈りこむのを中断してしまう癖がある。おまえはナニモノだ。なんと呼ばれているのだ。せめて名前を知って殺したい。私は標本をもちかえる。私の家には図鑑が何冊もある。調べる。葉は互生か対生か、キノコの裏側は網か襞か? 「ママコノシリヌグイ」というへんてこな名も、「カラカサタケ」というへんなキノコも、そうした、私にしか意味がないかもしれない同定作業によって名前を知った。そんな呼び名は人間がつくったものに過ぎないのだけれど、でも。私は私を納得させるために植物の名前を調べる。名前は名前だ
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