雉/ブライアン
 
言った。正しい判断をするために膨大な記憶が脳を駆け巡る。それがすべて検討されるまで、彼は硬直状態に入る。彼は前に出る運動と後ろへ出る運動を同時に行い、どちらが正しいのかを検討しなければいけないのだ、と言って笑った。再び動き出すまでに幾許かの時間が流れ、硬直状態から解き放たれる。その彼が硬直状態から解き放たれたとき、激しさだけが、彼を襲ってくるのだ。彼は頭の中であらゆる考え、あらゆる方法が、並列し、選択に迷ってしまうのだ、という。だから、動き出したときは、確かに自信がある。でもそれもつかの間だ。膨大な記憶はすぐさま、彼を疑心暗鬼へと誘う。
 
 満たされた世界に生を受けることは、活動そのものを欠
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