雉/ブライアン
 
を欠如させる。欠如した活動を得るために、さまよい始める。WEB、紙面、ビル街、荒野。田畑。山中。さまよい、人は体に宿る記憶を手繰り寄せるのだ。忘却することと記憶すること。人は、完全に満たされたとき、死へと至る。活動さえも満たされ、もはや欠如するものがくなれば。その瞬間まで人は決して満たされはしない。欠如した何かを求めるのだ。死にいたるまで、おそらく、満たされることはない。八方塞になりながら、わずかな隙間、空間へと運動せざるは得ない。

 高く鋭い声で鳴く雉の声は、彼岸にも届くのだろうか。「気違い」と呼ばれた者たちが欠如したものは、もはやこの世ではなかったのではないだろうか。彼岸のかなたへ声を投げかけるには、あまりに言葉たちは未熟であった。ゆえに、雉のように空間を支配するような高く鋭い声でなければいけなかった。求める声は、彼岸へと続くのだ。


()





戻る   Point(0)