愛の告白/桜 葉一
スはやってきた
一人帰ろうとする春奈ちゃんの背中を見つめ
僕はもう一度あの科白を反芻しようとした
しかしさっきまで覚えていたはずの科白が
緊張のためかなかなか思い出せない
何度も繰り返したはずの言葉が1文字ずつ飛び散って
転がっていってしまった
『 か と う く た こ
な だ っ す き す が さ
ど ぼ あ の と つ き
て い あ く だ でい』
さっきまできれいに並んでいた文字が
ばらばらになって読めなくなってしまっていた
まったく意味がわからない
そうこうしているうちに
加藤春奈ちゃんは行ってしまう
僕
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