骨と首の話 その3/hon
その女の尻だったわけだが、電車から降りるまで私はひたすら彼女の尻しか見ていなかったのだから、尻が立っていたという表現もあながち的外れとは言えない。
それはまったく美しい尻だった。
重力に逆らって上向きに張り詰めて二つのなだらかな膨らみが屹立しており、その麓のモノトーンのチェック柄のショートパンツの裾から一組の白く長い太ももが露出してまっすぐ下へ伸びていき膝まで達していた。彼女はこちらに尻を向け、顔を反対側に向けて立っていたので、私は心ゆくまでその美しい曲線を眺め、堪能していた。
こんな美しい肉は、例えば疲れた一人身の会社帰りの勤め人には少し酷ではないかと思えた。つまり、彼が一日の仕事に
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