骨と首の話 その3/hon
は、しだいに黄昏に包まれつつある山並みを背景にして、灰色のビルや家々を並べた箱庭のような丘陵地帯が後ろへ流れていった。ガタタン、ガタタンと単調な震動が左肩にふれている扉と足元の床から伝わってきた。そのうち、どうしてだか分からないが、唐突にピクニックにでも出かけているような楽しい気分になってきた。身体はまだ痛むし、楽しいような要素は特にない行程だったにもかかわらず、だ。久しぶりに乗った電車に気分が高まったのかもしれない。だとすれば、我ながらずいぶん子どもじみた反応だ。
ふと、私は目を上げた。するとそこには一つの尻が立っていた。
正確にいうと、女がひとつ向こう側の扉の前に立っており、尻とはその
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