骨と首の話 その3/hon
 
た近代的な構造物に変わっており、一体どこが改札口だか、しばらく迷ってしまった。
「やあ、電車が来ました。今から乗りますから」と、私は彼に話しかけた。返事はなかった。
 夕方の中途半端な時間だったが、電車内には結構人が乗っており、座席はそれなりに埋まっていた。数箇所空いている席はあったが、首を持ってあまり他人と隣接する気になれず、ちょっとしんどいが立っておくことにした。たかが一駅である。
 電車は走り出した。
 風呂敷を胸に抱えたまま、扉にもたれかかって、ガラス窓から外の景色を眺めていた。首は重かったが、さすがにそれを頭上の網棚に載せたり、床に置く気にはならなかった。電車がT川を渡った後は、
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