骨と首の話 その2/hon
 
どうして私がこんな辛い目にあわねばならないのか」と、久しく愚痴というものをこぼしたことのない私の口から、恨みごとが発せられた。
 やがて手と足の指先の皮膚が破れて穴があいた。そこから骨がコロリコロリと転がり落ちた。骨が出て行くことで、膨れ上がった指先は多少余裕が出来て痛みが和らぐようだった。穴からは血が出ていたが雨で洗い流された。私は歩きつづけた。骨がこぼれ落ちて減ると共に、張り詰めた痛みが減っているようで、しばらく気を楽にして歩くことができた。
 しかし、そうして骨が落ちていくことは新たな問題を生じていた。骨が体外に出て行くことによって、痛みは減るが、痛みを感じる主体である私の身体そのものが
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