骨と首の話 その2/hon
にその人間に利益をもたらすとしても、長い目で見れば大抵人間にとっては良くないこととなるのだった。
つまり、神々が気まぐれになす恩寵など、人間にとってはそのようなものだ。しかし、親切な人を忘れないでいることくらいは私にも出来る。その人はすぐに死んでしまうだろうが、不死なるもの、普遍なるものに与かることは出来るのではないか、私が死なないというからには、そして私がその人を思い出せる限りにおいては。
時代は流れた。雨の日があり、晴れの日があった。工業が興り、戦争が起こった。私自身は変わらないし、変わりようもない。大地も人間もそうである。しかし政治や社会は変わり、人間の生活と態度も変わっていく。思う
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