骨と首の話 その2/hon
 
、地方の領袖、国つ神たちは旅人を遇する道を心得ていたと思うが、私のような流浪の身にとっては親切こそが、この世界の微かな安らぎだったといえる。
 私は諸方を流れつづけていたが、そこに目的があるわけではなかった。いずれかの神が私を生みだし、私自身が何かの神にはちがいないが、それで何か特別の力があるわけでもなく、留まる地を持たず旅をつづける定めとなっているのだった。
 それでも、出会ったなかで親切だった人を忘れまい、と私は心に決めていた。私は誰かに親切を受けても、お礼に何かを返せるわけではない。もとより親切な人間は礼などを求めているわけではないのだが、もし私が恩返しに何かしたとして、それが一時的にそ
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