遅れてきた少年の一切合財(その2)/生田 稔
たのみ
広島の少女のことはめぐみさんの影響で
すっかり消えて
マルタを想うアムノンのように
神経と体が衰えていった
おもいきって、めぐみさんのお母さんに
手紙をだした
めぐみさんを貰えないかと
でも、返事ははかばかしくない
noともいえず、ぼかしてある
娘さんもnoだったのかも
何とも書いてないので判らない
開拓者は辞めてしまい
キリストだなんて主張して
身分境遇はけっして良くない
僕は三十過ぎ
めぐみさんも広島の人も
十八九、釣り合わぬ
半分諦めていたが
けつきょく、どちらも潰れてしまったとだけ記しておこう
京都へ帰った
それまでに、父は沢山
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