遅れてきた少年の一切合財(その2)/生田 稔
沢山お金を送金してくれたが
僕としては、教会の手当てだけで十分だった
自転車を使っての当時のころ
聖書の教えるように「衣食あれば、たれりとせよ」だった
送金してくれたよぶんの金で
渡辺兄弟ともう一人二つ年上の兄弟と
旭川のレストランで少し豪華な宴をもうけた
赤い葡萄酒を幾杯も飲んだのを覚えている
無駄なお金は使わなかったから
会衆の財政を助け、よく人のもてなしを
したのも父(実は母)の送金だった
足らなくて質屋へ行ったと、母はあとで述懐
父はそうすれば、私の身が立ち
独り立ちしてゆくと考えたらしい
京都ではキリストのことと
めぐみさんのことで
本当に恥ず
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