遅れてきた少年の一切合財(その2)/生田 稔
伝道で忙しくて、ほかの事は考える余裕もなかった
北海道にいて、故郷への郷愁から
思い出したのかもしれない
いよいよ、このことが気がかりに
もしかしたら彼女は僕のことを
毎日のように一年間一緒に伝道して
歩いた彼女のことが、つまりこれが恋愛
恋愛なぞを造られた、神が恨めしかった
すると、そうする内に
あの広島市で共に伝道した
若い少女から手紙が届く
「毎日お姿を思い浮かべて・・・・・」
などと記してある
しまった、三角関係におちてしまった
この重荷どうしたらよい
三十とはいえ、恋愛に未熟なわたし
女性といえば、22歳で売春禁止法ができるまえ
数度かよったの
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