骨と首の話/hon
た。
骨の跡はその遊歩道を横切って、土手の斜面を降りたところにある小さな祠に続いていた。そこの鳥居をくぐった正面の奥手には木造の社があり、扉は閉じていたが、その扉の前にどうやら最後らしい骨が落ちていた。
――この扉の向こうになにがしかの答えがあるということか。
土手の全域はただっ広くひらけてふんだんな直射日光に晒されているが、祠の周囲一帯はブナの木々に覆われた日陰になっており、外部の空間と比べてずいぶん大気が冷えていてひんやりと寒いほどであった。
錠などが施されていないことを確認すると、私は古びた神聖な建物の扉に手をかけて静かに開いた。埃っぽい匂いがむっと溢れ、薄暗い社の内部に三段
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