骨と首の話/hon
普通の人にはそのように道に落ちた骨の跡など見えはしまい。いや、私とて通常の状態であれば、そのようなものを見出すことはできないだろうし、仮に目にしたとしてもそれが骨であるなどと意識することすら出来ないだろう。というのは、道に点々と骨が落ちているなど予想もしていないからである。だが、そこにきっと骨があるに違いないと強く確信して道路を見つめてみると、どうであろう、だまし絵が浮かび上がってくるように、骨が点々と並んで落ちているのが良く分かるのである。
私はヘンゼルとグレーテルのパンの小片のように並んで落ちている骨の線を辿っていった。
最初の2,3個の骨は拾って検分してみたが、それが骨であると
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