おれも女に生まれたら、ワンピース着てみたいな/わら
ちには、かなしみをきく耳があり
ぼくたちには、かなしみをみる目があり
ぼくたちには、かなしみをつむぐ手があり
ぼくたちには、それを受け入れる心臓がある
ぼくには声はないよ
ぼくは、うたえないよ
ふるえるような音をきかせられないんだ
ぼくは字だよ
ぼくは詩だよ
耳鳴りを起こせやしない
かたまりだよ
そうなんだよ
いいんだよ
その女はさけんでいた
ねぇ、
もっと、きかせてよ
悲鳴のような歌声を
生きるための鼓動を
共感がいたみを和らげるならば
ぼくは、だれかのそれになりたい
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