おれも女に生まれたら、ワンピース着てみたいな/わら
 
たい

ぼくのなにかを分け与えられるなら
この乳房を切り取って、あげるよ


なにもできやしない
なにもできやしないけれど

言葉にしなかったら
ぼくたちは終わっていくんだ

なにも声を上げなかったら
そこに居なかったのと同じようなんだ



いくつかの記憶と忘れられないこととを
塗りつぶして

だれにも理解されやしない孤独も
もう腐りはじめていて


薄暗い個室で待ち合わせた女は
指名したのとはすこし違っていて

それでも、
微笑みしかくれないメイド服を着た女よりは優しくて
太ももに頬寄せていた


どちらも嘘だから
その微笑みの
[次のページ]
戻る   Point(27)