おれも女に生まれたら、ワンピース着てみたいな/わら
たい
ぼくのなにかを分け与えられるなら
この乳房を切り取って、あげるよ
なにもできやしない
なにもできやしないけれど
言葉にしなかったら
ぼくたちは終わっていくんだ
なにも声を上げなかったら
そこに居なかったのと同じようなんだ
いくつかの記憶と忘れられないこととを
塗りつぶして
だれにも理解されやしない孤独も
もう腐りはじめていて
薄暗い個室で待ち合わせた女は
指名したのとはすこし違っていて
それでも、
微笑みしかくれないメイド服を着た女よりは優しくて
太ももに頬寄せていた
どちらも嘘だから
その微笑みの
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