遅れてきた少年の一切合財(その一)/生田 稔
駅で父と別れるとき、うんと悪いことをやれと
何ということを、清くては渡れぬ世間
そう父は言いたかったのだろう
呑気に真直ぐにやりたかったのに
パートナーの渡辺兄弟といがみ合う
彼も土方の生活を若いときしたそうだ
男気があつても虚栄心が少ない
僕が言いたいこといっても
すぐ許す
純情だつた
俺は縁の下の力持ちになると彼と約束
彼はクリスチャンとしては先輩だったから
位は俺より上、おれは補佐
人様の後を歩めと
誰に教えられるでもなくと
今まで考えていたが
潜在意識というものはばかにならない
謙遜にということは、2年過ごした天理教で
習得していた
私たちの宗教で
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