遅れてきた少年の一切合財(その一)/生田 稔
大学でも高校でも不徳な奴はいっぱいなのに
彼らは金で解決する
貧乏医者で医は仁術の父は
いつも金ぴいぴい
食事だけはやや贅沢
母は料理下手
でも帰ってきた僕だった
近所の様子は確かに不穏
幼時のいたずらなどを持ち出して
噂は膨れ上がる
僕は総すかん
でもこうなることは
予期してた
人間の汚さを、うんと謗ってやろうと
考えた僕
ざまあみやがれと
大声で笑った僕
両手を振って大威張りの僕
嫌われるのも無理はない
京都には京都独特のしきたりが
僕は生まれは九州、五歳まで
喧嘩喧嘩の土地柄
なぜ喧嘩なのか、判らず喧嘩
牛乳瓶を投げつけたことがある
と母
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