霧になれない微雨の重力。/クスリ。
 
濁の気配が延々と拡大している。

拡大する混濁は鼠色に変わり、ゆるゆる、と、重たい雲に吸収されてしまう、が、やがて静かに放たれる。


秋に潜む夜の境は、いつも静かだ。


霧になれない微雨の重力に、潰れたのは誰だったか?。

不意に胸をつく答えを含んだ自明の問いに澱む雨の退屈は、刻みを決める夜の落砂に未だ顕れぬ破砕された鉛筆様、の、余剰を含ませる。
鉛筆様、を、求めていた削り機械の左手は力無く垂れ下がり、微雨の響きを聞く受動の無機の一部として諦観を纏っていた。


僕は、静かに、待ち続ける。


その、静か、に、揺れた時間に当然と馴染む椅子に座り待つ僕は、手のひ
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