霧になれない微雨の重力。/クスリ。
 
のひらにすっかりと小さくなった鉛筆削りを置いてみた。

樹脂の仄かに暖かい静電の膜が虚構の鼓動を奏でていた。
鉛筆削りの装う尊大は既に消え、立ちのぼる黒鉛と木屑の匂いだけが、ゆらゆら、と、浮遊している。


僕はそのハンドルを、回す。


目的を持たない原始の機構の、ひゅふひゅふ、とした軽い響きはやがて微雨の滴に積層し、重みを穿つ。


鉛筆様、を、待つ。


/霧になれない微雨の重力/

/潰れたのは誰だったか?/





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