聾唖の少女/なかがわひろか
家の台所から
包丁を取り出して
街中の人を刺し殺していきました
少し心が痛みましたが
せっかくのバラを枯らしてしまった罰です
街中の人を殺し終えた後
少女は最後に残った隣のおばあさんの家を訪ねました
おばあさんは長い間病気を患っていて
ベッドに横になっていました
少女はおばあさんに
バラの花を枯らしてしまったことを
謝ろうと思いましたが
うまく言葉にできません
おばあさんは
優しく少女の手をとり言いました
私はもう長くない
ひと思いにその包丁で刺し殺しておくれ
少女はうまく動くことができませんでしたが
おばあさ
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