聾唖の少女/なかがわひろか
 
あさんは包丁を胸に当て
少女を抱きかかえるようにして
ぐっと胸に刺しました

おばあさんはしばらくのたうちまわった後に
息を引き取りました

死んでしまったおばあさんを見て
少女はとても悲しくなりました

少女はきっと自分はとても悪いことをしたのだと思いました

少女は包丁を自分の首に当て
そのまますうっと
切り裂きました

(「聾唖の少女」)

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