聾唖の少女/なかがわひろか
 
とても嬉しそうでした

おばあさんにもらったバラを胸に挿し
少女は街を歩きます
少女を見つけた街の人は
また少女に汚い言葉を投げかけます

ヤクタタズ
キジルシヤロウハ
アッチイケ

いつものようにすっきりした街の人を見て
少女はにこにことしていました
すると少女の胸に挿していた
バラの花が悲しそうにしおれています

おばあさんのくれたバラの花は
街の人の悪意に満ちた言葉を受けて
枯れてしまったのです

少女はとても悲しみました
きっと街の人たちが
良くない言葉をかけたのだわ
少女はそう思いました

少女は家の
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